Friday, November 04, 2005

 

SUVが世界を轢きつぶす—世界一危険なクルマが売れるわけ


どうせ「SUVは環境に悪い」、みたいな「買ってはいけない」本のたぐいだろー。と思っていた私いい意味で裏切ってくれた本でした。
まずSUVが小型トラックに分類された結果、安全性も燃費基準も排ガス規制も非常に低くなるまでの話からこの本は始まります。
それだけでも驚きなのですが、外国の小型トラックに対して関税が50年代(!)のドイツ車攻勢の結果25%と非常に高い基準に設定されており、つまり90年代アメリカ自動車メーカーがSUVで息を吹き返したのは「アメリカ以外に需要が無く」「アメリカ以外のメーカーは関税上手を出すことが困難で」「安全性、燃費、排ガスなどに配慮する必要がないため非常に安価に造れる」というSUV市場をほぼ独占したことが理由である。という衝撃の結論にいたります。

本の前半がかなりこの話に割かれているのですが、著者は『ニューヨーク・タイムズ』デトロイト支局長を務めただけのことはあり。結論を断定的に出すことはなく非常に説得力のある話の展開をしていきます。

例えば後半のSUVの衝突安全性、走行性能の低さ等について論じている節では、必ずアメリカの公的機関の実験データについて触れ、またその際も最近の一部のモデルはかなり乗用車に近い性能になっているなど反例も述べており、「買ってはいけない本」にありがちな一方的な糾弾になっておらず、またすぐに実行可能なことに関してはメーカーも対応に動いているなど、質の高いジャーナリズムとはこういうものだと、思わせてくれます。

ま、とにかくSUV(日本でいうと四駆?)が好きな人もそうでない人もぜひぜひ御一読してみてはいかがでしょうか。


コメントが見れないor書けない場合は文字コードをUTF-8にしてみて下さい。
On Post Anonymously をクリックすると匿名でコメントできます。
Amazon.co.jpへようこそ!

This page is powered by Blogger. Isn't yours?